優秀な社員が辞める兆候を見抜き、人材流出を防ぐ5つの方法

著者 Robert Half on 2023 年 8 月 28 日
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近年、日本では売手市場が続いており、慢性的な人手不足と優秀な人材の流出が企業にとって深刻な課題となっています。あらゆる業界で市場競争が激化する中、優れた人材を確保・維持することは企業のビジネスの成功に欠かせません。

本記事では、優秀な人材が退職する兆候を見極める方法や、その背後にある理由をご紹介します。さらに、企業がこれらの兆候を察知し、早期に対策を講じるための手段についても考察していきます。


転職者は増加傾向

総務省統計局による労働力調査によると、各世代で転職希望者は増加傾向にあり、2022年の転職者の年平均は968万人で、2018年と比較すると16%増加しています。また、2023年1~3月期の転職者は296万人で、前年同期に比べて34万人の増加していることから、転職意欲は引き続き増加傾向にあることが言えます。

さらに、離職理由については、「より良い条件の仕事を探すため」という回答が最も多い結果(37.4%)となり、現状よりもさらに良い職場環境を積極的に求めている姿勢がうかがえます。


なぜ優秀な社員ほど早く退職してしまうのか?

優秀な社員が早期に退職する理由は、転職活動を始めた動機を知ることで明らかになります。 株式会社マイナビの「転職動向調査2023年版」によると、転職を決断する際の主な理由は上位から「給与が低かった」、「職場の人間関係が悪かった」、「仕事内容に不満があった」の順でした。

特に興味深いのは、「給与が低かった」を理由に挙げる人が2021年から増加していることです。現状の給与に対する不満が高まった背景には、物価上昇などの社会的要因が影響していると考えられます。

入社を決断する理由も「給与が良い」という回答が最も多く、つづいて「休日や残業時間が適正範囲内で生活にゆとりができる」、「希望の勤務地である」という項目が入社の決断する理由として挙げられています。

こういった調査の結果から、社会全体でキャリアを見直す動きが広がっており、多くの従業員は、職場で不満を感じると、より働きやすい環境や成長機会を求めて、転職をする傾向にあることが浮き彫りになっています。


優秀な社員が辞める時の5つの兆候

優秀な社員が辞めてしまうことは、企業にとって大きな損失です。そのため、彼らが退職を決断する前に現れているサインを見逃さずに気付くことが、社員の退職を防ぐための重要なカギといえるでしょう。

  1. モチベーション・やる気の低下
    会社への愛着が薄れると、仕事への意欲が減退します。そのため、最低限の業務のみを行い、新しいプロジェクトに対して消極的になったり、業務効率の低下が見られることがあります。
     
  2. 社内でのコミュニケーションに消極的
    退職を考えている場合、社内のメンバーと積極的にコミュニケーションをとり、親交を深めることに意義を感じなくなることがあります。そのため、打合せでの発言が極端に減ったり、会社の飲み会への参加が以前に比べて消極的になることもあるでしょう。
     
  3. 有給休暇の取得頻度が増加
    転職活動をするためには、まとまった時間を確保する必要があります。そのため、急に退社時間が早まったり、有給休暇を取得する頻度が増えることがあります。
     
  4. 社外でのネットワーキングの活発化
    退職意向のある社員は、業界内でのつながりを増やすことに興味を示すことがあります。社外のセミナーやカンファレンスへの参加が増え、興味のある業界や企業で積極的にネットワーキングを行うこともあります。
     
  5. 不満や愚痴の消失
    不満や愚痴を言わなくなるのは前向きな姿勢になったのではなく、諦めの気持ちが高まっている可能性があります。

優秀な社員の退職を防ぐ5つの効果的な対策

優秀な社員を自社に引き留めるためには、積極的に対策を打つことが必要不可欠です。ここでは、優秀な社員の退職を防ぐ効果的な5つの対策について詳しく見ていきましょう。

  1. オープンなコミュニケーション
    社員のキャリアに関する希望や、日々の業務における問題などをしっかりヒアリングする場を定期的に設けましょう。自分の意見が、社内の制度や配属に繁栄されていることを実感してもらうことで、モチベーションの向上につながります。また、こういったことをオープンに話せる職場環境を整えることも重要です。
     
  2. キャリアパスや成長機会の提示
    社員にキャリアパスや成長機会を明示しましょう。社員が意欲をもてる業務内容をヒアリングした上で、キャリアップや自己実現の機会を示すことで、モチベーションを高め、自社に留まる意欲を引き出します。トレーニングの機会を設けることや、業務に大きな裁量を持たせるのも良いでしょう。これにより、社員は自身の成長を実感し、組織に長く貢献したいという意欲が高まります。
     
  3. 業務量の見直と、ワークライフバランスの改善
    長時間労働や過度なストレスは、社員の健康や働く満足度に悪影響を与えます。優秀な社員への業務集中を避け、チーム内で業務を均等に配分することが重要です。また、休暇取得の促進や、柔軟な働き方の提供も社員の働く意欲と企業へのロイヤルティを高める上で効果的です。
     
  4. 待遇の見直し
    優秀な社員の能力に見合う評価や報酬を提供することも不可欠です。これにより、社員は自身の成果が適切に評価され、公平な報酬を受け取っていると感じ、モチベーションが向上します。評価基準や報酬体系を透明かつ公正に設定し、実績に応じた昇進やインセンティブ制度を導入することで、企業への信頼と忠誠心が高まるでしょう。
     
  5. 褒賞・リコグニションの提供
    社員が優れた業績を上げた際や特別な貢献をした場合に、公平かつ適切な褒賞やリコグニションを行うことは、社員のやる気を維持する上で重要です。社員が自身の努力と成果が評価され、感謝されていることを実感してもらうことで、業務への意欲を高めることができるでしょう。

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まとめ

慢性的な人手不足で売手市場が続き、働き方が多様化する現代において、企業は、優秀な人材の流失を防ぐための対策に追われています。流失を防ぐためには、まずは優秀な社員が辞める兆候を把握し、その上で具体的な対策を打つことが不可欠です。

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