電話一次面接で聞くべき質問

著者 Robert Half on 2020 年 10 月 19 日

採用担当マネージャーなら、すでに書類の選考基準はお持ちだと思います。いくらレジュメやカバーレターの出来が良くても、それだけで本当にニーズに合う候補者かどうかを判断できないこともご存じでしょう。どの候補者を次の選考プロセスに進めるかを判断する電話での質問内容は、採用を成功させるための重要な要素になります。

時間は貴重です。電話での一次面接は効率よく計画的に行いましょう。当然のことですが、募集中の職務に必要なスキル、経験、学歴、資格について質問します。このような項目を確認すると同時に、候補者のソフトスキルと表現力に着目します。職務を遂行できるだけでなく、企業文化に馴染むかどうかを判断するためです。

この段階では、複雑な回答を要する質問は必要ありません。予備的な電話面接は通常15~30分です。ここでの目的は、次の正式な面接の対象者となる有望な候補者を絞り込むことです。踏み込んだ質問をするのは次の正式面接のときにしましょう。

この時点で聞くべき質問、評価のポイント(要注意点を含む)、その後の手順を以下にまとめました。

電話一次面接の計画

電話一次面接を計画し、実施する場合、ほかの仕事でのやり取りと同じようにビジネスマナーに気をつけます。スケジュールを遵守し、候補者の時間を尊重しましょう。また電話に時間を割いてくれたことに対して、お礼を言いましょう。候補者が在宅勤務の措置中であっても通常と変わらずに仕事をしているのであれば、就業時間が終わるまで電話面接ができない場合もあります。

候補者には先入観を持たず、公正かつ平等に扱うようにします。電話に集中してください。簡単なことのようですが、確実に実行するのは難しいものです。何人もの候補者と続けて電話で話す場合、得てして質問を急ぎがちです。忙しなく余裕の感じられない態度を取ってしまわないためにも、電話一次面接の日程を連続して組むのは避けましょう。そして騒音などの邪魔が入らない時間に設定するようにします。

相手が社外の人間であることを忘れないでください。プロフェッショナルで思慮深い面接をすれば、会社の評判は上がります。不愛想で急き立てるような対応をとってしまうと、自身にも会社にもマイナスとなります。有望な候補者は、あなたと同じくらいの熱心さで、貴社を評価していることをお忘れなく。もし応募者が最初のコンタクトで不快な思いをした場合は、次の面接を辞退してくる場合もあります。

書類選考で候補者を絞ったら、電話一次面接を予定する前にもう一度レジュメを読み直してください。それを踏まえ電話一次面接で聞くべき質問のリストを作成します。このとき、各候補者に同じ質問をするようにします。そうすることで次の段階に進めたい候補者を選定するときに、公平に人材を比較することができます。

電話一次面接における良い質問

以下に面接用の質問例を挙げました。業種や職種に合わせて調整してください。候補者の職歴やその有無も考慮する必要があります。新卒の場合、仕事における成功例はありません。そのため面接では、学科、セミナー、チームプロジェクトに関する経験や、ボランティア、自主学習で取得したスキルなどに関する質問をすることができます。リーダーシップ、やる気、才能などの大事な資質はいろいろなことに現れるものです。また職歴に空白期間がある候補者にも同じような配慮をします。例えば、子育てを経て再就職を志している人や、解雇され数か月仕事から離れていた人などに対してです。

1. 基本

まずは候補者をリラックスさせるような簡単な質問から始めましょう。多くの人にとって、面接は緊張するものです。まずは簡単な質問から始めて、徐々に本題に入っていくようにします。

  • 自己紹介をしてもらえますか?
  • なぜ転職したいのですか?
  • あなたの求職活動の状況はいかがですか?
  • いつから勤務を開始できますか?

アドバイス:簡単な質問でも、候補者を次の段階に進めるかどうかを決定するのに役立てることができます。例えば候補者は会社側の希望する時期に合わせて勤務を開始できるでしょうか?もしすぐにポジションを埋める必要があるならば、1か月後でないと勤務を開始できない人は採用できません。

2. 希望給与額

お金のことは話しづらい話題かもしれません。採用担当者や人事側はそうは思わなくても、多くの候補者はそう感じています。しかし、候補者の希望給与額がオファーできる範囲内かどうかは、採用を検討する側としては知っておきたいことでしょう。希望給与額の確認は、電話一次面接における良い質問です。

  • このポジションでどれくらいの給与額を希望していますか?
  • あなたにとって重要な特別な手当や待遇はありますか?
  • もし弊社で_____手当または希望する給与額を提示できなかったとき、応募は取り消しますか?

アドバイス:多くの候補者は、この初期の採用プロセスでは給与額以上の希望は提示したがりません。もし金銭的な面で合意するかどうか明確でない場合は、後のプロセスでまた給与について聞くことができます。しかし候補者の希望給与額と貴社の予算に大きな差があると思った場合は、候補者と自分の時間を無駄にしないようにしましょう。貴社が想定している金額の範囲を伝え、そのうえでまだポジションに興味があるか確認します。

3. 仕事に対する意欲

電話一次面接ではスキルやトレーニングに関して話し合う前に、候補者のポジションに対する興味の程度を測るべきです。現在、候補者が就いているポジションと辞めたい理由を聞くことでも、候補者の適性を知ることができます。

  • なぜ現在の仕事を辞めたいのですか?
  • どうしてこのポジションに興味を持ったのですか?
  • 現在の職務を説明してください。
  • 仕事に対するやる気を起こさせることは何ですか?

アドバイス:社風に対する適応性、対人能力、問題解決能力、リーダー資質、イニシアティブなどのソフトスキルに注意しましょう。例えば、より大きなチャレンジを求めている候補者の場合だと、現在の役割よりももっと難しい仕事を探している場合もあります。

4. 貴社についての知識

候補者が貴社の年次報告書や社史を理解しているとまでは期待できません。しかし募集されているポジションに真剣に就きたいと考えている候補者であれば、面接のために多少なりとも下調べと準備ぐらいはしているものです。

  • どうして弊社に興味を持ったのですか?
  • 弊社の製品またはサービスについて、どんなことをご存じですか?
  • 弊社の製品またはサービスは利用されていますか?

アドバイス:貴社のミッションに賛同でき、製品に興味がある候補者は貴重です。金銭面で合意可能なだけでなく、仕事に興味があり、尚且つ、貴社に対してもポジティブな見解を持った従業員を採用したいものです。こうしたことは従業員の定着に関して重要な役割を担っているからです。

5. レジュメの詳細

電話一次面接では、予定している時間の大半をこの部分に費やすようにします。候補者に、仕事に何を期待しているか聞きましょう。そして応募をしている役割と貴社に対して、候補者がどのように貢献できるかも尋ねましょう。候補者は貴社が求めているスキル、経験、適性を備えていますか?また候補者のレジュメとカバーレターについて質問があれば聞くようにします。

  • 最近身につけた、または向上させたスキルは何ですか?
  • この仕事にあなたのスキルはどう活用できますか?
  • 1年間無職だった間、何をされていましたか?(そしてなぜ前の会社を退社したのですか?)
  • _____のインターンとして働いたことで、この仕事の応募に役立つ経験を得ることができましたか?(最近大学を卒業した場合)
  • 何か私に質問はありませんか?

アドバイス:ここで候補者に話す時間を与えます。レジュメに書ききれなかった職歴、スキル、学歴、トレーニングについて、話してもらうためです。不明な点がある場合は、フォローアップの質問をします。

電話一次面接で見つけるべき要注意点

電話一次面接を実施する場合はいつでも、偏見を持たずに、ポジティブな態度で対応するようにします。有望な候補者が正直かつ誠実に面接に臨んでくれているものと思っておきます。但し、候補者が意図的かはともかく、スキルや経歴を誤って伝えてくる場合があることも忘れないでください。また候補者が、前職や現職での功績について自らを評価するのに適していない人である場合もあります。そのため候補者の応答を基に、人材ニーズにどう適合するかを評価しながら、同時に貴社にとって最適な候補者ではないかもしれない要注意点を読み取るようにします。ここでは、要注意点の例をご紹介しましょう。

  • 熱心さに欠ける — 候補者は貴社で働けるかもしれないということに喜んでいる様子ですか? それとも、ただ面接をこなしている感じですか? もし候補者の熱意が感じられないようであれば、引き出すようにしてみましょう。電話一次面接では、「この仕事のどういう点に興味を持ちましたか?」、「弊社で働きたい理由を教えてください。」という2つの質問をするといいでしょう。
  • 質問をしない —電話一次面接が終わるまでには、候補者はチーム、仕事、会社について質問をすべきです。どれだけ仕事に興味があるかを判断できるだけでなく、電話一次面接に備えて準備をしてきたかどうかがわかります(「電話一次面接とは」などというフレーズでネット検索をすると、候補者が面接官にすべき質問を用意してくるようにというアドバイスを多数見つけることができます)。ただし、質問がなかったからと言って、すぐに不採用と判断を下すほどのことでもありません。
  • 注意散漫な受け答え — 電話一次面接中に邪魔が入ることもあります。予定外の訪問客への対応や、子どもや犬の相手をせざるをえないこともあるでしょう。こういった状況では、辛抱強く、公平な態度でいることを心がけてください。しかし候補者がInstagramをチェックしているような素振りや会話中にほかのこともしている様子が窺えたら、候補者はポジションにそれほど興味がないと判断できます。
  • 現・前職についての否定的なコメント — 候補者が現在または過去に勤めていた会社の悪口を言うようであれば要注意です。そのような言動はビジネスに不適切ですし、ほとんどの職務に求められる気配りや社交術などのソフトスキルに欠けていることを示します。また、候補者が職場で良い人間関係を築くことができなかった証拠でもあります。
  • お金に対する執着 — 前述のとおり、採用プロセスの初期段階ではお金についてあまり話したがらないものです。しかしなかにはお金にとてもこだわる人もいます。もし面接中に候補者が何度も給与や待遇について話をする場合、主なこだわりは仕事や会社ではなく、お金と手当てにあることの表れかもしれません。
  • 不適切な言葉遣い — 職場でビジネスに不適切な言動が全く生じないとは言いきれませんが、求職活動中であれば厳禁です。電話面接中に不用意な言葉を使うのは、プロ意識の欠如とソフトスキルの未熟さを示しています。上級経営者や顧客への接し方にも疑問が生じます。

電話一次面接のフォローアップ

電話での一次面接がすべて終わったら、有望な候補者のうち誰を二次面接に進めるかという難しい決断を下します。雇用情勢に関係なく、この決断が肝心です。優秀な人材が他社に流れてしまうことを回避し、自社に確保しなければなりません。

また次の採用プロセスの実施方法に関して決定すべきこともあります。面接官の人数や面接回数、またその実施方法の如何にかかわらず、チーム内では面接の質問の種類、良い質問例、誰がどの質問をするか、候補者の採点方法などを話し合います。

そして迅速に候補者と採用チームとの面接を設定します。もし実績やプレゼンに関する資料を提出してもらうことが可能なのであれば、候補者に送付を依頼し、次の面接の前に評価しておくようにしましょう。

外出自粛が要請されている間は、リモート面接を設定することが多くなると思います。ほとんどのマネージャーと求職者にとって、これは従来の採用プロセスとは違った新しい方法で、場合によっては実施に困難が生じることも考えられます。テクノロジーに十分に慣れていても、また、例え日常業務で使用しているビデオプラットフォームと同じものを用いる場合でも、カメラの前で面接をするということは対面式の面接とは大きく異なります。「リモート面接に関するアドバイス」を是非参照ください。

振り出しに戻ったような気分でしょうか?ある意味ではそうとも言えます。電話一次面接での質問は、時間と手間のかかる採用プロセスの土台となります。次の面接では候補者の経歴についてより深い質問をし、スキルレベルを評価(そして場合によってはテスト)します。そして最終的には、候補者と面接したスタッフからそれぞれのフィードバックを取得し、レファレンスチェックを行った上で、提示する給与額やオファー内容について検討します。配慮の行き届いた電話一次面接を実施していれば、貴社にとって最良な候補者を次に実施する正式な面接に呼ぶことができます。そうすることで、とても良い採用プロセスのスタートを切ることができます。

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