FP&Aってどんな仕事?仕事内容からキャリアパスまでご紹介

著者 Robert Half on 2023 年 9 月 7 日
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近年、FP&Aという職業が注目を集めています。日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、外資系企業では以前からよく募集されている職種であり、その需要は国内外で急速に高まっています。本記事では、財務・会計の視点から経営を支えるFP&Aの重要な役割に迫ります。企業の成長戦略に貢献するFP&Aの業務内容、必要なスキル、キャリアパスなど具体的に解説していきます。


FP&A とは? 需要が高まっている背景

FP&Aは「Financial Planning & Analysis」の省略で、「財務計画と分析」を意味します。外資系企業では一般的な職種となっており、財務や会計の視点から必要な情報を提供することで、経営者や事業部門長の意思決定を支援する役割を果たします。元々はアメリカの企業で始まり、現在では多くの欧米先進企業でFP&Aが設けられるようになりました。日系企業においても、今後需要の拡大が予想されています。

会計の分野では財務会計と管理会計という2つの領域があります。財務会計は法律的に義務付けられた報告を行うための会計であり、企業外部の利害関係者(投資家や債権者など)に対して企業の財務状況を報告する役割を担います。一方、管理会計は、任意の経営判断に必要な情報を提供する会計です。予算管理、意思決定管理、原価管理など、適切な経営を行う上で必要な情報を提供することが主な役割になります。FP&Aは、主にこの管理会計分野で必要とされている仕事になります。

外資系企業のFP&Aは、通常CFOの指揮下にあり、経営に関する重要な意思決定に大きな影響を与えます。一方で、日系企業では経営管理や管理会計の担当者が複数存在することが多く、CFOが直に指揮をしているわけではありません。そのため、部門ごとに経営情報を管理しているため統率が取りづらく、経営へ積極的に参画するビジネスパートナーとしての本来のFP&Aの役割を果たすことが難しいケースが多く見られます。

しかし、経済産業省によってコーポレートガバナンス・コードが適用されたことにより、現在ではFP&Aの本来の役割を求める日系企業も増えています。このコードは、東京証券取引所に上場する企業の「企業統治」に関する原則をまとめたものです。法的な拘束力はないものの、違反時には東証がその企業を公表するため、株価などに大きな影響を及ぼします。企業は経営方針や財務状況をわかりやすく説明する責任があり、FP&Aはその専門家として重要な役割を果たします。経営者の片腕として、企業の意思決定をサポートするビジネスパートナーが求められているため、FP&Aの注目度が高まっているのです。


FP&Aの仕事内容

外資系企業において、FP&Aは幹部の次に経営に近い立場とされています。企業全体や事業単位、製品・サービス単位において、財務的な視点からさまざまな分析と管理を行い、戦略を立案する責務を担います。担当範囲は組織体制によって企業ごとに異なるものの、「経営戦略の策定や具体的な施策の決定において、財務や会計の視点から必要な分析や提言を行い、経営者や事業部門長の意思決定を支援する」という本質的な役割は共通しています。以下では、具体的な業務内容を紹介します。

  • 業務管理と財務分析:
    FP&Aは、財務の専門家として業務管理と財務分析を行います。企業の財務に関する中長期的な計画立案に向けて、必要なデータの収集、分析、予測までを担当し、財務の専門家として、経営方針に対する適切なアドバイスを提供します。FP&A自身は実際の最終決定はしないものの、経営層の意思決定に大きな影響を与えるといえるでしょう。
     
  • 管理会計の実施:
    FP&Aは、管理会計のスペシャリストでもあります。経営者や事業部が現状をきちんと把握し、計画を確実に実行できるよう、必要な会計情報を提供します。また、KPIやKGIの現状を分析し、これらを報告することで経営課題の解決を支援します。
     
  • 収益モデルと価格設定モデルの構築:
    FP&Aは、収益モデルや価格設定モデルの構築も行います。売上やコストを予測・管理し、中長期的な視点での収益モデルを構築し、収益性向上やキャッシュフローの最大化を追求します。

 


FP&A の平均給与は?

FP&Aの給与は、その役割や責任と同様に、担当範囲や組織体制によって異なります。また、経験年数や勤務地なども影響します。ロバート・ハーフの最新給与トレンドでは、FP&Aの平均年収や業界の最新動向をご紹介しています。

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FP&A に欠かせない5つのスキル

企業経営におけるFP&Aの重要性はますます高まっており、日本の労働市場においてもその需要は増えています。本セクションでは、FP&Aとして将来のキャリアを成功させるのに不可欠な5つのスキルを紹介します。

  1. 管理会計に関する深い知識と経験:
    自社の経営を正しく分析し、適切な戦略策定や意思決定を行うためには、管理会計の知識が必要です。財務諸表の全ての項目を理解し、会社に影響を及ぼす問題を評価するスキルが求められます。
     
  2. プレゼンテーションスキル:
    FP&Aの役割は、単にデータを示せばいいというものではありません。経営陣や関連部署の意思決定をサポートするためには、データからどのような経営や事業展開を行うべきかをきちんと説明できる力が重要です。論理的な伝え方、声の大きさや抑揚、ボディランゲージ、話の構成などを工夫してプレゼンテーションスキルを磨き、説得力のある提言を行いましょう。
     
  3. コミュニケーションスキル:
    FP&Aの職務で成功を収めるためには、建設的な議論や周囲からの協力を得ることが欠かせません。そのためには、効果的なコミュニケーションスキルが必須です。使う言葉や伝える内容、順序などを工夫し、相手の理解力に合わせて説明を行いましょう。正確かつ効果的に情報を伝えることも重要です。上司や他部署の関係者と円滑な関係を築くことができれば、話を受け入れてもらいやすくなります。
     
  4. IT技術に関する知識とスキル:
    デジタル化が進む現代では、データの集計や分析に最新のテクノロジーを活用するのが一般的です。これに伴い、FP&Aも、分析やデータ管理のためのITツールを使いこなすスキルが必要です。テクノロジーの進化に追従し、効率的なデータ処理を行う能力が求められます。
     
  5. ビジネス英語のスキル:
    外資系企業のFP&AはCFOの配下で働くことになるため、将来のキャリア形成において貴重な経験を積むことができます。また、多くの外資系企業がFP&Aを広く募集しています。しかし、外資系企業でFP&Aとして働くためには、高度なビジネス英語のスキルが必要です。国際会計基準やUS-GAAPの知識があると、さらに幅広い仕事に携わることができるでしょう。

FP&A のキャリアアップに役立つ3つの資格

FP&Aとしてキャリアアップを目指す際、適切な資格を取得することも大切です。このセクションでは、FP&Aの専門性を高め、キャリアパスをより確かなものにするための3つの資格に焦点を当てます。

  1. MBA(経営学修士・経営管理修士):
    MBAは、「Master of Business Administration」の略で、経営学の大学院修士課程を修了することで取得できる学位です。MBAを取得する過程で経営学を学ぶことで、幅広い経営に関する知識と実践的なスキルを得ることができます。また、海外でMBAを取得する場合は、英語力の向上と国際的な多様性を経験することができます。仲間と築く人脈も、FP&Aの職務において強力なアセットとなるでしょう。
     
  2. USCPA(米国公認会計士):
    USCPAは、「U.S. Certified Public Accountant」の略です。アメリカの州ごとに異なる資格で、国際的に認知されています。資格を得るためには会計の知識だけでなく、経済学やITに関する概念も学ぶ必要があります。また、英語で試験が行われるため、外資系企業のFP&Aに必要な英語スキルも示すことができます.
     
  3. CPA(公認会計士):
    CPAは、日本3大国家資格の1つとされる資格です。会計監査の専門家であり、財務、経理、会計コンサルティングなど幅広い分野で活躍することができます。試験合格後、実務経験と実務補修を経て公認会計士登録が必要です。公認会計士の資格を持つことで、幅広い会計関連業務に従事することが可能になります。

FP&A の広がるキャリアパス

最近では、ファイナンス職のキャリアパスも多様になっています。かつては、経理やFP&Aの経験を積んで、ファイナンスヘッドのポジションを目指すことが主流でした。しかし、現在ではコンサルティングファームや投資銀行などの金融業界出身者が、事業会社のFP&A部門に転職するケースが増えています。さらに、社内の公募制度を活用して、ファイナンス部門からマーケティングや戦略部門などへの移動も一般的になりつつあります。また、日本法人がグローバル組織に統合される流れに伴い、ファイナンス部門のポジションも日本国内だけでなく、グローバル全体において重要性を増しているようです。

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まとめ

FP&Aの需要は、今後さらに高まると思われます。ロバート・ハーフには、財務・会計に特化した専門性の高いリクルーターチームがいます。財務・会計分野に関するキャリアプランについてお考えでしたら、ぜひ、弊社までお気軽にご相談ください。

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